硝子繊維協会会長賞第2回SDGs住宅賞
「南松山の住居」

| 建築主 | 個人 |
| 設計者 | 伊藤啓輔建築設計事務所 |
| 施工者 | 中條建築、ハラ・デザイン・ラボ |
| 建設地 | 愛知県豊橋市 |
| 構造 | 木造軸組工法 |
| 階数 | 地上2階 |
| 延床面積 | 148.80m2 |
講評
愛知県豊橋市の中心市街地から郊外に向かう国道に面した敷地。前面道路は交通量も多く、近くの川は時々氾濫を起こしているという。そこに、設計者が自邸を建てた。単純な木架構をあらわしにしたシンプルな「がらんどう」の空間。梁柱があらわしだから手を加えやすい。まだ小さな子供4人の成長を見守るかのような可変可能な住宅だ。いずれ家族の構成も入れ替わるだろうし、用途すら住宅でなくなるかもしれない。そんな人の暮らし、営みを支える「融通無碍な器としての建築」を目指しているそうだ。
およそ2:1の縦横比の平面形状。長辺の七間は一間ピッチに耐力壁のリブをつけ、その間が各空間に応じたユニットとなっている。唯一閉じられたトイレと浴室の箱でがらんどうのワンルームが緩やかに仕切られている。一間ごとの軸組は将来的には間仕切りも容易に設置できるように梁のレベルも低く抑えている。通常廃棄されてしまう材料の切り無駄を出さぬよう、寸法を緻密に割り出して断面や平面のモジュールを決めている。外壁材の長さ、柱間のサイズ、屋根勾配など。それでも出てしまう端材は棚板やベンチなどの家具に有効利用されている。シンプルなディテールとそのモジュール採用の徹底ぶりが生活の知恵を編み出す精神を標榜している。
準防火地域内で外壁の製材あらわしが実現しているのは、大臣認定を取得している防火構造(外壁製材15mm以上+高性能グラスウール16kg厚120mm(付加断熱)+木造柱間に高性能グラスウール16kg厚105mm+内壁PB12.5mm)の採用によるものだ。屋根はガルバリウム鋼板葺の下地ヒノキ三重桟木の間にグラスウール16kg 厚105mmロールを落とし込み、合計315mmのグラスウールが施されている。外皮をすっぽり断熱材で包まれた2層の内部空間は吹き抜けを介して繋がっている。冬は下層に設置されたルームエアコン1台で、夏は上層の設置されたルームエアコン1台で夏冬逆の対流を起こして快適な室温環境を保っている。日常も災害時も太陽光発電も装備され、必要最小限のエネルギーにより自立できる。グラスウールですっぽり包んだ実験住宅のような試みが、SDGs住宅賞の硝子繊維協会会長賞に値すると評価できる。

