IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

住宅・建築SDGs推進センター理事長賞第2回SDGs住宅賞

「うりずんHouse」

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建築主 深田麻衣、深田友樹英
設計者 一級建築士事務所 アトリエガィィ
施工者 具志頭工務店株式会社
建設地 沖縄県名護市
構造 木造軸組工法
階数 地上2階
延床面積 148.71m2

講評

 「うりずんHouse」は、マングローブ林を前面に望む沖縄県北部の集落にある、低海抜地域に存する敷地に建設された戸建て住宅となっている。沖縄の住宅は、一般的に補強コンクリートブロック造や鉄筋コンクリート造などの耐風性能の高い住宅をイメージするが、本住宅は、高潮による浸水対策として高さ1.4mの高基礎を用いているが、基本的な構造は木造となっている。
 沖縄の住宅は、日射対策と通風措置に重きを置いて設計されるケースが多いが、本提案では、欧州等の外気温が著しく低く、かつその期間が長いことを考慮した上、積極的な日射熱利用を行うパッシブハウスという概念を、ある意味逆に活用した設計を行っている。具体的には一定の断熱・高気密化により室内空間を外気から切り離した上、室外温度が高く、かつ高湿度となる期間が長く、日射対策(遮蔽)が重要である沖縄独自の気候条件を考慮した、快適な室内環境を実現している。
 本住宅では、日射遮蔽の為に必要となる南庇の張り出し寸法を確保するため、台風の多い沖縄の気象条件を考慮した鉄骨パーゴラ支柱を活用した吹上げ対策の実施や、夕刻以降に日射が多くなる西面に、斜め格子で囲われた快適なテラス空間を設ける工夫を行うと共に、サンゴ石入りの漆喰ぬりかべをユイマール(助け合いの精神)の伝統を引き継ぐワークショップにより施工するなど様々な取組を行っている。
 沖縄のような亜熱帯蒸暑地域は年間を通じて湿度が高く、開放的な間取りによる通風だけではカビ対策や、快適な室内環境の確保は難しい状況にあった。そのような状況を打破するための一つの方法を本提案では示していると考えられる。
 今後は、年間を通じて室内外温度差が寒冷地ほど大きくならない沖縄にとっての最適な断熱厚さや、高温多湿な環境における経済性、メンテナス性を考慮した最適な空調システムなど、より洗練された手法が構築されることが期待される。

 

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