硝子繊維協会会長賞第1回SDGs住宅賞
「金山デッキ」
建築主 | 個人 |
設計者 | 株式会社中村勉総合計画事務所 |
施工者 | 株式会社芳賀沼製作 |
建設地 | 長野県芽野市 |
構造 | 木造軸組工法 |
階数 | 地上1階、地下1階 |
延床面積 | 124.54m2 |
講評
本住宅は、茅野盆地の中央と厳しい気候環境の中に立地する木造戸建住宅である。計画・デザイン面では、東南の八ヶ岳方面の眺望を確保するよう窓を配置するとともに、さらに景観を楽しめるよう外デッキや屋上デッキが配置され、屋根稜線は後背部の山並みに合わせるデザインとするなど、立地条件を活かし自然を楽しみ・調和するものとなっている。また、環境性能の観点からは、主としてグラスウール充填断熱による外皮の高断熱化(UA値0.32W/㎡・K)、ダイレクトゲインによる床の蓄熱、床下空調による居住域快適性の確保、パッシブ熱交換換気による空調負荷の低減、自然エネルギー利用による機械設備の最小化及び太陽光発電システムの設置などにより、パッシブデザインを採用しつつ、高い環境配慮性能が確保されている。
さらに、SDGsへの貢献の観点では、本住宅は、以下のSDGsに貢献するものとなっている。
SDG④:公平で質の高い教育の提供
二地域居住の場だけではなく、環境を学ぶ学生や専門家との議論の場としての活用を計画し、周辺環境との調和も相まって質の高い環境教育の場として貢献が見込まれるものである。
SDG⑦:手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスの確保
SDG⑪:都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能に
前述のとおり高い環境配慮性能が確保されるとともに、大容量の太陽光発電パネル、蓄電池や過発電量を逆潮する装置を設けることにより、災害時には周辺への電力供給を可能とし、結果としてライフサイクルカーボンマイナスを実現。これにより、環境配慮とレジリエンスの確保に対して貢献が見込まれるものである。
このように、高い環境性能の確保とライフサイクルカーボンマイナスの実現そして災害時の地域への電力供給への配慮と高いレベルでまとまっており、SDGsとの関連性も明確であることから、本作品を高く評価するものである。